セラピストにむけた情報発信



文献紹介8−脳の学習力−子育てと教育へのアドバイス



2008年9月30日

脳の可塑性に関する書物や論文は,このコーナーで何度か紹介しております.今回紹介する文献も脳の可塑性に関する書物ですが,その切り口は”子育て”です.

このコーナーを閲覧してくださる若い世代の方々のなかには,子育てに奮闘しながら,臨床や研究の場で活躍される方も多いと推察いたします.ご自身の子育てに関しても思いを馳せながら,脳の可塑性に関する研究知見を勉強したいという方にはお薦めです.

ブレイクモア,フリス(乾敏郎,山下博志,吉田千里訳)「脳の学習力― 子育てと教育へのアドバイス ― 」2006,岩波書店.


脳の可塑性を知れば知るほど,子どもへの教育は早ければ早いほどよいのではないか?という素朴な疑問が沸きます.この本は,このような安易な考え方に警鐘を鳴らしている点で,非常に意義のある本だと思います.

またこの本は,「基礎的な研究知見を,一般の方々にもわかりやすい形で伝える」ということを具現化している点でも,大変優れた本です.訳本ですが,すらすらと読めました.訳者の優秀なお仕事ぶりが伺える1冊です.

なお,本書と同様の切り口で書かれた読み物として,以下のものもお薦めです.

津本忠治 「早期教育は本当に意味があるのだろうか」 伊原康夫(編著)脳はどこまでわかったか.2005,朝日新聞社, pp. 27-50.
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